<対話>のない社会

<対話>のない社会
中島 義道 著、PHP新書、1997年

本書で著者は、「いかなる議論をするにせよ、みな対立を生み出さないように配慮して言葉を発することが第一に求められ、対立が生じそうになったら、ウマクそれを避ける方向へもってゆくことに全神経を注ぐ」日本社会へ一石を投じようとしているかのようです。著者は、日本社会の中で育まれてきた連歌や禅問答のような対話を評価しつつも、このグローバル時代には、真理を求めるという共通了解をもった個人と個人とが、対等の立場でただ「言葉」を通して<対話>することの重要性を説きます。
 <対話>とは、勝つための議論やディベートではなく、「各個

人が自分固有の実感・体験・信条・価値観にもとづいて、自分の人生を背負って語ること」です。従って<対話>には、各個人の抱く意見の「小さな差異」を確認しながらゆっくりと忍耐強く進むことが求められます。言葉、差異を圧殺する傾向が強い日本に、この<対話>を尊重し推進することで、もう少し風通しの良い社会になってほしいという願いで、哲学者の著者は言葉を絞り出しているように思えます。真の国際コミュニケーションを考えさせられる一冊です。

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