中比較による異文化適応の実際

日中比較による異文化適応の実際
キツ ゲンコウ 著
溪水社、2003年

著者は、中華人民共和国で高校を卒業後すぐに留学生として来日し、日本語を習得の後、大学に進学しました。その過程で、体調を崩した経験から、如何にして異なる文化の中で上手に適応していけるのか、あるいはどうしたら文化背景の異なる人たちの異文化適応を援助していけるかに関心をもち、臨床心理学、異文化間心理学を専攻し研究している方です。

 本書は、著者が名古屋大学大学院の博士論文に、加筆修正を加えて出版したものです。従って、内容そのものは一般的な読み物としては少し難い感じを受けるのは否めませんが、「認知」という領域に着目し、論理療法の観点を取り入れた「異文化」研究の成果は傾聴に値します。

本書は、在日中国人留学生、在中日本人留学生に加え、日本と中国の高校生と大学生を対象に、異文化適応に関する調査、および日中比較調査を基礎資料を基に書かれています。その調査方法ならびに調査結果の考察については、本書をお読みいただくとして、個人的には「日中のことばから捉えた文化と神経症」(研究5)の章で、「うち」と「そと」や「本音」と「建前」などを切り口にした、日本人と中国人の対人関係の日中比較に大いに興味をそそられるものがあります。

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